同居人日和 blog

こころ踊るドラマに出会えたら幸せ!と思う、アラ還間近のプレ主婦です。

『名もなき毒』宮部みゆき:著

名もなき毒

名もなき毒

久しぶりに一気に読みました。途中でやめられなかったなー。前作の『誰か』よりもワタシは面白かったですね。『誰か』と同じ杉村三郎が主人公の続編なんだけど、今回のラストがなんとなくシリーズ化を予測させるような…考えすぎ?(笑)。
女性アシスタントの人間関係トラブルと連続無差別毒殺事件と土壌汚染。何も関係ないように思えるそれらの出来事が「毒」というキーワードで見事に繋がっていく過程はさすがです。すごく優しい文章ではあるんだけれど、なんとなく『火車』の匂いも感じるような題材。
もしもワタシの身近にあの子がいたら…もしもワタシの身内だったら…って思うと読んでいて本当に怖かったし痛かった。でもまったくあり得ない話ではないよね。人は皆大なり小なり「毒」を抱えて生きているのかもしれない。その「毒」を奥底に隠し、小出しにしながら生きていくか、隠すことができずに周りにまき散らしてしまうしかないのか、その違いだけなんだもの。
ついこの間舞台『噂の男』を観たばかりで、これもまた人の「毒」「悪意」のオンパレードで(笑)、続けざまに心をグサッグサッとやられた感じではあるんだけれど…あ、もちろん舞台とこの小説は全然違うお話ですが。