同居人日和 blog

こころ踊るドラマに出会えたら幸せ!と思う、アラ還間近のプレ主婦です。

『白夜行』小説とドラマ そうか、そう来たか!

ドラマの感想と言うよりは、小説とドラマについての文章になってしまった…しかも超長文(汗)。そのうえ第2話の感想でもないので、畳んでおきまする。
この小説が発刊された時(1999)、速攻で買って読んだ記憶だけはあった。でも、まったく内容を覚えていない自分に呆れちゃって、そのことをオットに言ったら「キミは読み終わった後「あんまり面白くなかった」って言ってた気がするよ」と。
えーっ?面白くなかったの?名作と言われているこの小説を?。まぁ確かに続編といわれている『幻夜』を読んでいないくらいだから、そうだったのかもしれないなぁ…なんて。でも納得いかずに、ドラマが始まる前に慌てて再読。そして何故ワタシが面白くないって思ったのかもわかった。
原作では雪穂と亮司の心理描写は一切無くて、19年間不可解な事件が起こり続ける。もちろんその間、雪穂と亮司がふたりでいる描写も、動機も一切描かれていない。ただ、事件関係者の視点と、刑事・笹垣の推理だけしか描かれていないんだよね。
だから読んでいても、登場人物に感情移入することができなかったし、しかもラストは亮司だけが哀しい最期を迎え、雪穂はひとり前を向いて歩いていくところで終わり。そんな後味の悪い(当時はそう思った)哀しい小説だったから「面白くなかった」って言ったんだろうな。
今回再読して、初めてこの小説の巧みさ、緻密な構成の面白さに気がついた(遅っ)。雪穂と亮司の内面を一切描かない手法で、ここまで読み手を引き込ませる東野先生の手腕には脱帽。他者の視点や証言だけから、事件の動機や方法などを自分で推理するという、小説としての楽しさを与えてくれた。一気に読み終わった後にも、いろいろと考えさせられる深い内容…うーん、確かにこの小説は凄いっ!。
そしてドラマを見て「そう来たか!」と思った。原作小説では一切描かれていない部分を、このドラマでは別の視点で描いていくわけなんだね。事件は同じでも、何故その事件がおきてしまったのかという、そこに至る経緯(動機)をじっくり見せてくれる手法なんだ。これって原作があるけど、構成はまったく原作通りじゃない、強いて言えば裏と表なんだと思った。
事前に小説を読んだワタシには、あえて描かれていなかった場面、笹垣刑事の説明だけで想像していた場面がひとつひとつ補完されていく楽しみがある。第1話では、幼い雪穂(福田麻由子)と亮司(泉澤祐希)が、何故あんな殺人を犯さなければならなかったのかがとても丁寧に描かれた。ワタシ的には小説とドラマで完結した気がしたもの。
今回は、7年前に犯した罪のその後、離ればなれになったふたりがどう生きていたかが描かれていた。過酷な運命はふたりを再会させ、そしてまた事件がおこっていくわけだよね…。
それにしても亮司役の山田くんの役作りにはビックリした。今まで見たこともない山田くんだよ。あの表情や喋り方は別人のようだった。このドラマの亮司(山田孝之)は、あれから7年間ずっと罪と孤独とに押しつぶされそうになっていた。情けなくて自信が無くて無気力だったんだね。
小説を読んだ人たちが幾通りもの亮司像を頭の中で作っていたと思うけど、こんな亮司を思い浮かべていた人ってひとりもいなかったんじゃないかな。最初はビックリしたけれど、見ているうちにこれもアリかもとも思ったよ。まぁこの山田くんが好きか嫌いかは別として(笑)。
そして雪穂、そうかー、とにかくこの7年間は月日が流れていくのを大人しく耐えていたわけか。しかしあんまりの出来事にとうとうキレたと。で、亮司の情けなさにもキレたと(苦笑)。これから冷酷でクールな雪穂に変化していくのだろうか。それとも、悩みながら罪の重さに震えながらも仕方なくというスタンスで進んでいくんだろうか。
どっちにしても、頭の切れる雪穂に引きずられるように罪を重ねていく亮司の姿が見えた…。でも雪穂と再会したことで、ふたりで太陽の下を手を繋いで歩く日を目指して生きていくことができるようになったよね。このことで、無気力男だった亮司にも変化があるんだろうな(もちろん良くない方向にですが…)。
ところで、菊池(田中圭)が亮司を脅すシーン、見ていてもそんなに深刻に感じなかったのはやっぱりキャスティングミスじゃないかと(汗)。だって、山田くんと田中圭くんと田中幸太朗くんと綾瀬はるかちゃんと…って、どうしても気持ちがそっちに(どっちだ)行っちゃうじゃないか(プンプン)。