『名もなき毒』宮部みゆき:著
- 作者: 宮部みゆき
- 出版社/メーカー: 幻冬舎
- 発売日: 2006/08
- メディア: 単行本
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女性アシスタントの人間関係トラブルと連続無差別毒殺事件と土壌汚染。何も関係ないように思えるそれらの出来事が「毒」というキーワードで見事に繋がっていく過程はさすがです。すごく優しい文章ではあるんだけれど、なんとなく『火車』の匂いも感じるような題材。
もしもワタシの身近にあの子がいたら…もしもワタシの身内だったら…って思うと読んでいて本当に怖かったし痛かった。でもまったくあり得ない話ではないよね。人は皆大なり小なり「毒」を抱えて生きているのかもしれない。その「毒」を奥底に隠し、小出しにしながら生きていくか、隠すことができずに周りにまき散らしてしまうしかないのか、その違いだけなんだもの。
ついこの間舞台『噂の男』を観たばかりで、これもまた人の「毒」「悪意」のオンパレードで(笑)、続けざまに心をグサッグサッとやられた感じではあるんだけれど…あ、もちろん舞台とこの小説は全然違うお話ですが。