同居人日和 blog

こころ踊るドラマに出会えたら幸せ!と思う、アラ還間近のプレ主婦です。

『孤宿の人 上・下」宮部みゆき:著 2日間で読んじゃった…

非常に書きにくい…いつも本の内容を書いているつもりはないんですが、今回は何を書いてもネタバレになりそうなんですよね。なので「続きを読む」にしておきます。
孤宿の人 上 孤宿の人 下
参った…参りましたよ。久しぶりに小説を読んで"号泣"してしまいました。目頭がじわ〜じゃないんですよ。マジしゃくりあげるくらい泣きすぎて(隣のオットビックリ)、書いてある文字が読めないくらいになっちゃって、一旦本を閉じて気持ちを落ち着かせてから再度読むという、そんな結末でした…はぁぁ。
期待どおりの素晴らしい物語で、ぐいぐいと引き込まれてあっという間に読み終わっちゃった…ああ、勿体ない(笑)。起こる事件、纏わる事柄の発想が凄すぎるのは、宮部作品ではいつものこと。「へぇ〜」と言いながら読み進んでいったわけですが、話が進むにつれどっぷりと感情移入してしまい、そしてラストで号泣…。ああ、またしても「やられた〜(泣)」って感じです。
宮部先生の「悲しいお話なのですが 悲しいだけではない作品にしたいと思って 書きあげました」というメッセージどおり、本当に悲しいけれど、だけど読み終わったあと暖かいモノが溢れてくる…そんな作品でした。

(追記:ネタバレあり)
昨夜布団に入ってからいろいろ考えた。読み終わった後は確かに暖かいモノは溢れてきたけれど、時間がたつにつれどうしようもなく辛い気持ちの方が強くなってしまった。それは物語の時代背景のせいなんだけども。お家が、幕府が、藩が、面子が…そんなことで弱い者の命がいとも簡単に取られていく時代だから。
「ほう」は孤児で頑是無い子供でちょっとおつむりが良くなくて純粋で一番弱い立場にある。だから誰からも命を軽く見られている。人身御供のように差し出されて、簡単に排除される立場。
正しいことをしようとしている「舷洲先生」たちだって、小さな「ほう」を利用したことには間違いない。利用するってことはやっぱり「ほう」の命のことなんて重く考えていないんだよね…。偶然のおかげで「ほう」は「加賀様」と出会い、そして可愛がられた。それは「ほう」が純粋でなんの思惑もなかったから。でももしも「加賀様」と出会っていなければ「ほう」は…(涙)。
「ほう」が「加賀様」に頂いた名「呆」→「方」→「宝」…これからは「ほう」は「宝」として生きていける、それだけは本当に嬉しかった。
「宇佐」が死んだ時、心臓がぎゅっとなるくらい驚いて涙が堰を切ったように流れた。「なんでこの娘が死ななきゃならないんだっ」って思った。「宇佐」は中途半端に物事を見る力、判断する力を持ってしまった(啓一郎のせい)。おかげで、どれだけ悩み苦しんだことか。「本当のこと」を知らない方が幸せってこともある、それを痛感した。
この時代に生まれてきてしまった「ほう」も「宇佐」も「渡部様」も「啓一郎」も、そして「加賀様」も、みんな可哀想でならない。