同居人日和 blog

こころ踊るドラマに出会えたら幸せ!と思う、アラ還間近のプレ主婦です。

『優しい時間』最終話 泣いたよ

うわあああん、泣いたよー。物語の終盤、「森の時計」入口に拓郎(二宮和也)が立ち、勇吉(寺尾聰)が振り向いてからのあの短いシーンは秀逸でしたー。拓郎と勇吉の間に流れる感情が、見ているワタシの心にじわーっと染み込んできたですよ。
「ああ、この場面を見るためにワタシは今までこのドラマを見ていたのね(涙)」…ってなくらい素晴らしい場面、素晴らしいふたりでした。


…はい、結局ワタシは「制作者の掌で良いように転がされている視聴者」だと、指差されて笑われても仕方ないくらい単純な視聴者です、わはは…は…。


「…ご無沙汰してます…」「…やぁ…」ここからの、間がねぇ…くぅ〜。なんて言うのか、目だけで語り合っているっていうか、お互いの感情が表情だけで読み取れるっていうか…うー、とてつもなくステキなシーンだったと思います。
短い場面だったけれど、父親に会えた喜びや許しを切望する心の感情が、拓郎のあの表情、特に彼の目の表情だけで十分に伝わってきたし、まだ拓郎に会う心の準備ができていなかった勇吉の、驚きと戸惑い、だけど心の底から嬉しさが込み上げてくる気持ちも、驚きから笑顔へと変化していくあの表情だけで……もうここは本当に台詞は必要なかった、うん。
(ただ、ここでCMを入れるのは反則だろうがーーーっ!!(怒&泣))


拓郎を迎え入れた勇吉は、すっかり愛する息子を見る父親の表情になってましたね。息子の焼いた陶器を、宝物でも触っているかのように大事に扱い、見つめる勇吉、息子の創った抹茶茶碗や以前にもらったマグカップを手放しで誉める勇吉…ああ、本当に嬉しそうだよ。


「今日は謝りに来ました」自分で刺青を消した痕を魅せながら拓郎が言う「許してください…僕がやったこと…母さんのこと…刺青のこと…父さんを…父さんを傷つけたてしまったこと…」ぽろぽろぽろぽろ涙をこぼしながら、絞り出すように話す拓郎が、もう、もうっ(号泣)。
そんな拓郎を真っ直ぐ見つめながら「やめてくれ…拓郎…。もうやめよう…謝らなければならないのは…俺の方だ…許してくれ、すまなかった…」泣きながらやっと自分の口から謝ることのできた勇吉が、…もう、もうっ(号泣)。


なんかねー、随分とアッサリと和解したかのように見えますが、ふたりの心の中での葛藤はいままで十分に「もう、そのゲストの話はいいから先進めてよー」ってなくらいあったし(笑)。
だからこんな風に顔と顔を合わせた瞬間に「雪解け」しても、許せるって感じなんだよね…うふふ(甘い?)。


年齢は随分と離れているけれど優れた役者同士のオーラ…っていうか、寺尾聰二宮和也をキャスティングしたことによる相乗効果っていうか、ここまで「随分と優しすぎる時間(笑)」を創ってきた倉本先生の確信犯的最終回っていうか、とにかく見事にワタシはこの最終回ラストにハマってしまいました。
いままで数々のツッコミ要素とかお笑い要素とか呆れ果て要素とかも確かにありましたけれども、そんなもの、この拓郎と勇吉のシーンで全てぶっ飛びましたですよ。「あー、いいもの見せてもらったわんっ」って思ってます(単純)。


そうそう、拓郎と勇吉の雪解け前に、めぐみ(大竹しのぶ)のさよなら(?)シーンもありましたね。『蛇よ!』の大竹さんとはまったく別人としか思えないめぐみの優しい笑顔。天才・大竹しのぶですよ。
「あなたが見ているもの、私も見ているわ。あなたが感じること、私も感じるわ…ここのカウンターで…いつでも私…一緒に…」その言葉を最後に、めぐみの幻なのか、マスターの心の声の映像化なのか、とにかくめぐみはもうこのカウンターには座らないんだなぁ…と思わせてくれました。
毎回の勇吉とめぐみのシーンも良かったし、こういう禁じ手もアリなんだなーと思ったですよ。
ただ最後、めぐみの歌声で「夢は夜ひらく」が聞こえたかと思ったら、マグカップがいつもの場所に移動していたのは…なんでしょ…ミラクル?(笑)。


…と、一応満足はしていながらも、今回も言及したい事柄もあったわけで(笑)


拓郎が腕にヤケドを負う原因を作った朋子(余貴美子)さんってば、実は大物だよね…。皆空窯の主人・六介(麿赤兒)から拓郎の事故のことを聞かされても、それが自分のせいだと微塵も思ってないんだものっ(怒)。
全国の視聴者が一斉に「おいっ、そりゃアンタのせいだよー!!」と画面の朋子さんを指差した姿が想像できます…つーか、うちではずーっとワタシが怒りながら指差して叫んでましたがっ。


ドラマ序盤では、拓郎の唯一の味方だと思っていた朋子さんでしたが、後半この人が取る行動や言動はビックリすることも多かったですよね。
拓郎のヤケドのことだって、秘密にしたいって言っているのにわざわざアズを呼び出して喋っちゃうし…。で、全部話してから「あんたも聞かなかったことにして欲しい」だの「もちろんお見舞いに行くとか絶対にやめて欲しいし」とか「マスターには絶対に内緒」とか…。だったらわざわざ呼び出してまで言わなくたって…ううう。
言い訳のように言った「あの子のそういう気持ちを誰かに知らせたくて…」なんて台詞、自分勝手にも程があるだわっ!!プンプンっ…と怒ってたんですけれど、まぁアズがいきなり落ち着いちゃっているので大事には至りませんでしたし、結局ラストでアズと拓郎の気持ちがひとつになったシーンにも繋がりましたけども…ぶつぶつ。


アズといえば、拓郎渾身の抹茶茶碗を手に取った瞬間、全国の視聴者が一斉に「アズに渡しちゃダメだよーっ!!落とすから、絶対落とすからっ!!」と叫んだ声も想像できます…つーか、うちではオット共々叫びましたから。まぁアズがいきなり落ち着(略)。


美可子(清水美砂)さんの次のターゲットは、ケータイ忘れ常習犯の刑事・風間(山下澄人)さんでした。元愛人の滝川(納谷真大)さんが狭心症の発作を起こしたことを聞いても、「まっ!!死んだ?」なんてあっけらかんと言い放つこの人ってば…(汗)。
そーいえば一時期、マスター勇吉にも接近を試みていた時期もありましたよね。…良かった、本格的にターゲットにされなくて(笑)。


今回のゲストはかっつみーでしたが、えっと…ストーカー?(笑)。朋子さんの中学時代の友達で、めぐみ(大竹しのぶ)が好きだった…という設定。
ストーカーという言葉すら無かった時代に、めぐみの写真はもとより、もらったチョコレートの空き箱や包み紙まで、現在まで大切に保管していた真性ストーカー・亀田(高橋克実)…その怪しさ・痛さを見事に演じるかっつみーに「…満腹です」とお礼を述べたい(笑)。
めぐみと一緒に行ったコンサートが藤圭子(わざわざ「宇多田ヒカルのお母さん」という台詞付き)だったり、チョコレートの空き箱がグリコアーモンドチョコレートのXAだったり(号泣)、立石(國村隼)と一緒に「瀬戸の花嫁」を歌い出したり…。見事なくらい十代・二十代は置いてきぼり作戦炸裂ですね、倉本先生(笑)。
あっ、立石さんの娘・マヤ(須藤理彩)も一瞬の出演でしたねー。ちなみに立石さんのところは、親子関係の雪解けは不可能っぽいまま放置ですか…。


エンディングでは、富良野の皆さんのその後って感じで、不憫な田中圭くんが映ったり(ううう…)、拓郎とアズが腕組んで歩いていたりしてまして、ああ、終わったんだなーという気持ちでちょっと寂しいかも…。


何だかんだと言いながら、今クール終わってみれば(まだひとつ残ってますが)、「さすが巨匠・倉本大先生のドラマは良かったよ」なんて言ったりしてますが(オホホ)。