『神はサイコロを振らない』第5話 笑った!…そしてじーん
「何か…何か間違えてしまったような気がする…」という、ちょっともの悲しいモノローグから、一気に笑いにもっていくその展開が素晴らスいっ!。ヤス子(小林聡美)の行ったり来たりのひとり芝居を、驚きながらずっと見ている加藤教授(大杉漣)の表情にも笑ったよー。「もっと私を構ってくれよ」て。ゲラゲラ〜。
でも、その後「黛ヤス子の言葉にこういう言葉があります…泣いたり喚いたりできたならどんなに楽だろう」で、じーんとさせるこのテクニックっ!くぅ〜〜〜(涙)。
菊介(武田真治)に今の気持ちを問われてヤス子はこう言う「燕雀いずくんぞ 鴻鵠の志を知らん(燕や雀のようなちっぽけな鳥ごときが、鳳の大きな志をわかるはずがない)」…おいおい、ヤス子は鳳かい(汗)。
だけど確かに、菊介にズバッと言われるまでもなく、テツ(山本太郎)や亜紀(ともさかりえ)と10年ぶりに再会できたことに対してのヤス子の本心って、クリアには表現されてないよなぁ。泣いたり喚いたりできない、大人的に言うと分別みたいなところとは別に、必死で自身の気持ちを抑えているように感じる。あえて本質には目を背けているのかなぁ。これ以上辛い思いをしたくないって気持ちがブレーキをかけているんだろうなぁ。だから、自分のこと以外なら一生懸命になれるのか。
勢いだけでは物事が進まない「くどくど」のヤス子と、勢いがないと物事が進まない「だーっと行ってばーっと探す」テツはホント良いコンビだわ。そんなふたりの間を取り持つ亜紀がまた可愛いよねぇ…。ワタシはどちらかと言うとくどくどタイプかなぁ。石橋を叩いても渡らない性格なので。でも、こんなシチュエーションだと、亜紀の立場になることも多いかな。円満に…が心情なので(ホントか?)。
亮(小清水一揮)父親・誉(鶴見辰吾)が息子に会うのを躊躇している姿を見て「後悔して欲しくないんです…会いたいっていう気持ち以外に今必要なものはありません…今はただ、何も考えずに抱きしめてあげてください」と言うヤス子。ほらほらほらほら〜、ヤス子は他の人のことになるとこうなんだよねーっ!。テツや亜紀もそれに気がついて、誉に言うフリをしてヤス子に訴えかけてるじゃん。「10年後の2006年に来たこと、良かったなって思いたい。会えて良かったって思いたい。だから、どうにもならない出来事に負けるな、負けないで」うわーん、ヤス子〜、負けるなよ〜(涙)。消えてしまうかもしれないふたりからの、大切なふたりからの気持ちを受け取れよ〜うわーん。
亜紀からの「ヤッチは何が救いだった?絶望のどん底にいた時」の質問。いよいよ、核心かっ?と思いきや、テツの腹へりにてまたしてもぶち切れちゃった(笑)。
だけど、なんだかテツはヤス子の本当のところがわかっている感じだったよね。髪の毛くしゅくしゅにして「ホントにもぉ〜、おまえは〜」って、なんだかとってもほんわかした。テツは、品川の公園でヤス子がひとり飛行機を見つめている姿を想ったんだよね。突然いなくなってしまった恋人と親友のこと、10年間でいろいろ折り合いをつけて生きてきたヤス子のこと、わかってくれたんじゃないだろうか。
「諦めているんじゃなくて、何がやれるかわかってきた」「100個できることが10個になったとしても、その10個が自分に確実にできることなら、私はそれをダメなことだとは思わない」「それは諦めたんじゃなくて、自分がどんな人間かわかってきたってことだから」ヤス子のこの言葉に泣きそうだった。うんうん、もうわかりすぎてどうしよう、って感じだった。
ワタシは結構昔からこーいうタイプだったので「まだできる」「もっとやれる」と言われると困ってた。「最初から諦めてはダメだ」と言われると「諦めているんじゃないんだけど、ホント、ごめんなさい」って言うしかないんだもん。なんか、説明のしようがないんだよね。でも、亜紀の言うように、たまに11個目の情熱が出る時もあるんだよなぁ。そー言うときは確かに嬉しいし、頑張ればできるかも!とも思うけど、情熱ってすぐにしぼんじゃって(涙)。
だけど、ヤス子が本心から「どうしようもない出来事に負けたくないって思ってるよ!」って言った。ヤス子にとっての12個目、テツのことには負けて欲しくないと思うよ。自分のことを放ってふたりのことに一生懸命な亜紀の為にもっ!!。…つーか、ホントに亜紀ってふたりのことだけしか考えてないよね。自分のことはいいのか?亜紀…。